投網漁と刺し網漁

タイ

記憶が定かではないのだが、おそらく宿泊していた民宿の女将さんが私が漁に行きたがっている事を伝えてくれたのだろう、ある日、小川での投網漁と刺し網漁に行く機会に恵まれた。今日はその時の話をご紹介したい。

■2018年1月28日

Cさんに投網漁と刺し網漁に連れて行ってもらった。Cさんはソンクラー県生まれの56才(当時)で、普段は天然ゴム・プランテーション業に従事している。投網漁も刺し網漁も主に自家消費用の魚を獲るためにおこなっているそうだが、たまにたくさん魚が獲れた時には売ることもあるという。投網を使った漁をするのはこの島ではほぼCさんひとりだそうだ。Cさんは20年ほど前にこの漁をはじめ、独学で腕を磨いてきたという。

投網漁の漁場は島北東部のマングローブ林の中を流れるクロン・トックンという小川だ。船の泊めてある小川の岸辺に出るのに、マングローブ林を切り拓いた小道を行く。途中まではバイクでアクセスできるが、次第に悪路となり、最後は徒歩で行く。

クロン・トックンへの小道(2018/1/28 撮影)

クロン・トックンには複数の船が停泊し、また、蓄養用の生簀が浮かんでいた。ここもひとつの漁業拠点なのだ。

クロン・トックンに浮かぶ蓄養用の生簀(2018/1/28 撮影)

14時頃、出港。潮は引いていて、マングローブの支柱根があらわになっている。船を上流の方へ向ける。約10分後、出港地点からそれほど離れていない場所で1回目の投網を打った。Cさんの投げた網はお椀を逆さにしたようなきれいな形で着水した。

投網をかまえる(2018/1/28 撮影)
勢いをつける(2018/1/28 撮影)
投網を打つ(2018/1/28 撮影)
投網を引く(2018/1/28 撮影)

3回打って、魚が2匹とエビが1匹獲れた。4回目は1匹、5回目も1匹魚が獲れた。Cさんは場所を少しずつずらしながら、11回投網を打ったが5回目以降は空振りに終わった。

14時48分、場所を移動し網を変えて、今度は刺し網漁を始めた。目合いは投網が3cmだったのに対し、こちらは2.5cm。長さは約20mある。網の片端を右岸に固定し、小川の中に網を持って入っていく。左岸に辿り着いたら手に持っていた網のもう片端を固定し、水音を立てたり、岸に生えているマングローブの枝を揺さぶったりして、魚を網の方へと誘導する。

刺し網漁。網を張っている様子(2018/1/28 撮影)

刺し網も場所を変えて、4回設置した。1回目は2匹、2回目は0匹、3回目は3匹、4回目は7匹の魚が獲れた。

漁獲物(2018/1/28 撮影)

獲れた魚の中で重要なのはボラ類のようだった。これだけ別の入れ物に分けられた。ボラ類をタイでは一般的にプラー ・カボック(ปลากระบอก)と呼ぶが、現地ではラナー(ลานะ)と呼ばれている。今回獲れたのはラナーの中でもユンポイ(ยุมโปย)という種のようだ。和名ではオニボラ(Ellochelon vaigiensis)という。

ユンポイ(2018/1/28 撮影)

15時33分、船は元の岸辺についた。そこで余談なのだが、マングローブ林の小川の土手は大変危険であることをお伝えしたい。私は船のへりから土手に飛び降りたのだが、大変ぬかるんでいて足をとられ、ずぶずぶと足先からおへそのあたりまで小川に沈んでいってしまった。川底も泥で足がとられて動けない。一人では到底抜け出せそうになかった。Cさんにひっぱり上げてもらってなんとか岸に上がった。カメラは死守したものの、ウエストポーチに入れていたスマホは水没してしまい、その後、大変困ったことになった。当たり前のことなのだが、迂闊に岸に飛び降りてはいけない。そして、漁に同行する時はウォータープルーフバッグが必須である。

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