仲買いに魚を売る

タイ

バトプテ村には魚の仲買いをしている家が4軒ある。ほとんどの場合、漁師はいつも同じ仲買いに魚やイカを売りに行く。なぜ 同じところを利用するのか、それには理由がある。漁師が船や漁具など、大きな買い物をするときに、仲買いが金銭的にサポートをしてくれるのだが、その代わり、漁師は借金を完済するまでその仲買に相場より安い値で魚を売らなければならないのだ。彼らは「パトロンークライアント」関係で結ばれているのだ。4軒ある 仲買いの内、どこと取引をするかというのは、血縁関係によるようだった。4軒とも地元民の店で、島外の資本ではないという。

さて、わたしがお世話になっていた家の旦那さんはイカ釣り漁師だが、彼の場合はどうだろうか。彼は、他のイカ釣り船よりひとまわり小さな船で操業している。借金をせずに手に入れられるサイズの船にしたからだ。仲買いと「パトロンークライアント」関係にないため、どこに売りに行くかは彼の自由だし、安い値で買い叩 かれることもない。彼は単純に、家から一番近い仲買いに売りに 行くことが多い。

仲買いの人は、魚種ごとに重さを量り、小さなサイズのものは寄 せ集めても 200gに満たない場合は漁師に戻す。そして、その場ですぐ、現金で買い取る。仲買いのお店には氷の詰まった大きな 冷蔵コンテナが置いてあり、魚介はそこに保管される。そして、週 に一度、ピックアップトラックに積みこまれて島外へ出荷される。 売り先はまだ詳しく調べることができていないが、トラン市方面 に運ばれて行くようだ。

なお、漁師が仲買いに売らずに自分で販売する場合もあった。たまにではあるが、自宅の前に台ばかりを置いて村人に直接売って いたり、バイクに乗せて「魚はいらないかい」と呼びかけながら売 ってまわっていることもあった。

(写真:「漁師のこの日の漁獲(アオリイカとコウイカ)を量る仲買い」2018/09/30 撮影)

コメント

タイトルとURLをコピーしました